アメリカ留学体験談

日本語教師

Episode 20 ミス・インディペンデント

コミュニティ・カレッジで出会った友達にヴィッキーというメキシコからの移民の女性がいます。 カリフォルニアはメキシコ移民の割合がとても多いのですが、ヴィッキーも家族を助ける為に若くしてアメリカに移民して来た女性でした。

私が彼女に出会った時、彼女は既に30代だったのでかなりお姉さんだったのですが、 楽天的な部分と苦い経験を乗り越えて来た強さを持ち合わせる彼女とは妙にウマがあいました。

兄弟の沢山いる彼女は10代の時一人でアメリカに来て、白人のおばあさんのケア(介護ですね)をする為に住み込みで働いていたそうです。
彼女の真面目な働きが認められて、おばあさんが亡くなった後も都会に住む息子からレンチハウス(ranch house 牧場から来ている家のスタイルです)の管理を任され、 一人でその家に住んでいました。 私も何度も遊びに行ったり泊まりに行ったりした事があるのですが、 お隣が一軒あるだけで周囲には何にも無い、水道も井戸水を自家活用するようなちょっと寂しい異国の家に一人きりで住んでいられる強い女性です。 (家の様子はレンチハウスの怪談をどうぞ。)

学歴が無かったので、メキシコ人がよくする仕事のひとつであるハウスメイド(お家のお掃除)をしながらお金を貯め、 コミュニティ・カレッジで勉強していた彼女。向上心があり、自立精神が旺盛で、メキシコにいるママへの仕送りはもちろん、 メキシコへ帰るときは親戚一同に大量のお土産を持って帰っていました。

メキシコ人は不法移民のイメージが強く、また色々な手口で脱税をしたり、犯罪が多かったり、当時メキシコ移民に対する風当たりは割と強かったのですが、 自尊心の高い彼女はよく
「私はちゃんと仕事をしてきっちり税金も払ってるし、自分で学費も出している」と胸を張っていました。

そんな彼女に連れられて行ったサルサクラブやアングラなメキシカンフードの店は良い思い出です。 150センチ無いんじゃないか?という小さな体の彼女が、
『サルサなら朝まで踊り続けられる!』
というパワーを持っていて、 一緒にいるこっちまで影響されてパワフルに踊り狂って楽しんでいました。

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