アメリカ留学体験談


Episode 09「男同士の喧嘩」

"Political correctness"ポリティカル・コレクトネス 形容詞は"politically correct" もしくは省略して"PC" という言葉があります。
多種多様な人種が混在する移民国家アメリカでは、色々な人種、文化、宗教、考え方、性別、身体的特徴、信条やポリシーなどを持った人達がアメリカで共存して行く為に、 その違いを持った相手に対する公の場での最低限の社会的マナーが必要になってきます。

教育の場や、メディア、政治、そういった場ではもちろんの事、偏見や差別感が現れた発言は一般的な生活の中でもpolitically incorrectである事が多いです。
公平な表現や用語を用いるのがポリティカル・コレクトネスと言われます。ただ、このポリティカル・コレクトネスはかなり行き過ぎな建前的な部分もあるので、 スタンドアップ・コメディなんかでネタにされる事もあります。

とても仲の良かった友達同士が、差別発言とまではいかないでも人種や文化や宗教などの違いに対する無神経な発言から喧嘩をするとか、 無神経な発言や馬鹿にした態度をした為に人から嫌がられると言った事態が割と頻繁に起こります。
「悪気は無かったのよ」が通じない場合も多いので、相手の人種、文化、宗教などのバックグラウンドに配慮する様に心がけた方が良いです。

ポリティカル・コレクトネスの例ではないのですが、無神経な発言から喧嘩が起こった例を紹介します。
寮の中で、いっつも一緒にいる赤毛でちょっとタンタンに似たユダヤ人の男の子と、ご先祖はスコットランド系という背の高い男の子がいました。
スコットランド系の男の子の方が同じ棟に住んでいたので、私も彼らと一緒によくご飯を食べたりしていました。

平日の夜でもパーティー状態で寮があんまり煩いので、カフェテリアが夜間の勉強部屋として解放されていたのですが、 私もそこに平日は毎晩通って宿題をこなしていました。そんなある晩、カフェテリアで勉強していると遠方で騒ぎがあり(私は奥のテーブルにいました。) ちょっと騒然とした感じでユダヤ人の男の子が立ち去って行く所でした。

僕はスコットランド系の典型的なアメリカンだから、悪気は無かったんだよ。。。

どうやら、一緒に数学の勉強をしていて図形でお互いに説明し合っている時に、自分の描いた図を観ながら、
「あれ、これってさ、スワスティカに似てるよね。そう見えるでしょ?あははは。」
と失態をやらかしてしまったようです。

仲の良い友達に対してあからさまに彼のバックグラウンドをムシした無神経な態度や発言できるのはちょっとおばかさんですよね。

いつも一緒にいた二人は暫くの間口をきかない間柄になってしまいました。
男同士の喧嘩はネチネチ裏で続く女同士の喧嘩と違って殴り合いでいつの間にか解決したり、あまり後を引かないというイメージがあるかもしれませんが、 人種が絡んだ喧嘩だとそう簡単には修復されない場合もあります。