アメリカ留学体験談


Episode 05「ラティーナ清掃婦の雄叫び」

寮では自分の部屋は各レジデントが掃除する事になっていましたが、共同で使うバスルームはラテン系移民のおばちゃんメイドさんが週2回掃除をしに来てくれていました。 英語はほぼ喋れないメイドさんなので、「Hola, como estás?」などと挨拶を交わしていました。
バスルームにはシャワー2つ、トイレ2つ、洗面器3つが並んでいて、6-8人のスイート内の学生がシェアする構造です。

私たちのスイートには語学学校生も短期で入れ替わり立ち替わり入って来て、韓国人の女の子、アルゼンチンの女の子などがいたのですが、ワイルドなアメリカンルームメイト(正式にはスイートメイト)に辟易して、 挨拶程度であまり関わって来ない感じでした。(私は仲良くしていましたが。)

日本は円高の波に乗って留学生が増えた時期でしたが、先進国以外の国から来る留学生は自国ではリッチな人の層が多く、 両親が会社を経営している、とか実家に経済的な余裕がある子達が殆どでした。

この、アルゼンチンからの留学生も例に漏れず経済的に豊かな層の出身で、とても綺麗で可愛く、 上品な服装をしていて、彼女から醸し出されるエターニティの香りに寮の男の子達はかなり参っているようで、男の子達の間で大人気でした。

彼女が入居して来て暫くしたある日、スイートに私とその他のルームメイト達が帰って来るのと入れ替えに、 このアルゼンチーナの女の子がそそくさとスイートから出て行ったときがありました。

なんだか焦っているような彼女の態度に「?」となりながら持ち物を部屋に置き、バスルームへ向かうと。。。
そこにはトイレから溢れ出てバスルームの床一面に広がる水と茶色い物体。しかもその茶色い物体には消化されていないサラダのような物体が交じっていて、 バスルーム全体に強烈な悪臭が漂っていました。

「ぎゃあああああ」私の悲鳴を聞きつけて、その他のルームメイト達がなんだなんだとバスルームに集まります。
「ありえなーーーい 」という声と同じく悲鳴が上がり、使えたもんじゃないからカフェテリアのトイレを使おうと私たちはスイートを後にしたのですが、 そこに入れ替わりでラティーナの清掃婦おばちゃんが、陽気に「Hola」とやってきて、バスルームへと向かいます。

「あああああsdfghjkl;’!!!!!!」スペイン語で絶叫が聞こえて来たのを最後に、私たちもそそくさとスイートを後にしました。

「親がリッチな留学生だから、トイレ掃除なんてした事無いんだろうね彼女。」とルームメイトの一人がこぼしていました。 このルームメイトも使った食器をリビングルームに数週間放置するとかありえない事をしていた子なのですが、さすがのアルゼンチンパワーには参ったようでした。
自分のしたごっつい不始末をあの状態で残してバレないとでも思ったのか、それとも別に他人にみられても何ともなかったのか。。。 ラテン系留学生の不始末を、ラテン系移民の清掃婦が始末するという、何とも皮肉なお話。